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こんにちは。しょうのこどもクリニック院長の庄野です。
暑い季節になると、外来でも熱中症についてのご相談が増えてきます。
このように感じたことがある保護者の方も多いのではないでしょうか。
子どもは、大人よりも熱中症になりやすい特徴があります。それは、単に「暑さに弱い」ということではなく、体の仕組みや生活環境、行動の特徴が関係しています。
この記事では、子どもが熱中症になりやすい理由と、ご家庭でできる予防、そして熱中症が疑われるときの対応について、小児科医の立場からお伝えします。
子どもは、大人と同じ場所にいても、実際には大人よりも厳しい暑さの中にいます。
体の大きさや体温調節の仕組み、暑さやのどの渇きへの気づきにくさなど、子どもならではの特徴が重なって、熱中症が起こりやすくなります。
具体的には、大きく5つの理由があります。
子どもの熱中症を防ぐためには、まず「なぜ起こりやすいのか」を知っておきましょう。
子どもは大人よりも身長が低いため、地面からの熱の影響を受けやすくなります。
特に、アスファルト、コンクリート、人工芝、日陰の少ない園庭や校庭では、地面からの照り返しによって体感温度が高くなります。
保護者の方が立った状態で「これくらいなら大丈夫」と感じても、子どもの高さではかなり暑く感じていることがあります。
外出時には、できるだけ日陰を選ぶ、ベビーカーの中が暑くなりすぎていないか確認する、地面が熱い時間帯の外遊びを避けることが大切です。
子どもは、汗をかいて体温を下げる機能が大人ほど十分ではありません。
そのため、暑い環境にいると体の中に熱がこもりやすくなります。特に乳幼児は、自分で服を脱いだり、涼しい場所へ移動したり、水分をとったりすることができません。
大人が環境を整えてあげることが、熱中症予防の基本になります。
子どもは、外遊びやスポーツに夢中になると、自分の体調の変化に気づきにくくなります。
「のどが渇いたら飲みなさい」と伝えていても、実際には遊びを優先してしまうことがあります。
そのため、子ども任せにせず、大人が時間を決めて声をかけることが大切です。
「暑くない?」と聞くだけではなく、「いったん日陰に行こう」「今、水分をとろう」「少し休もう」と具体的に行動を促す方が効果的です。
熱中症は、気温だけで決まるものではありません。
寝不足、朝食を食べていない、下痢や嘔吐がある、風邪気味で体力が落ちているといった状態では、熱中症のリスクが高くなります。
特に、前日から元気がない、食欲がない、尿の回数が少ないという場合は、外遊びや運動を控えめにする判断も必要です。
熱中症は真夏だけの病気ではありません。
5月から6月にかけて急に暑くなった日や、梅雨明け直後など、体が暑さに慣れていない時期にも起こりやすくなります。
「まだ夏本番ではないから大丈夫」と思わず、急に気温が上がった日は、外遊びや運動の時間を短めにし、休憩を多めにとるようにしましょう。
熱中症対策では、気温だけでなく「暑さ指数」を確認することが大切です。
暑さ指数は、気温だけでなく、湿度、日差し、地面や建物からの熱などを考慮した指標です。気温がそれほど高くなくても、湿度が高い日は熱中症が起こりやすくなります。
目安として、暑さ指数が高い日は以下のように考えてください。
暑さ指数(WBGT)
※暑さ指数(WBGT)は、気温だけでなく湿度や日差しなども含めた指標です。
特に小さなお子さんや、体調が万全でないお子さんは、大人よりも早めに休ませることを意識してください。
熱中症予防で大切なのは、「暑くなってから対応する」のではなく、「暑くなる前に準備する」ことです。
外出前には、次の点を確認してください。
朝の時点で元気がない、食欲がない、尿が少ない、下痢や嘔吐がある場合は、無理に外遊びや運動をさせないことも大切です。
子どもは、自分からこまめに水分をとることが難しい場合があります。
外遊びや運動の前、途中、終わった後に、大人が声をかけて水分をとらせましょう。
普段の水分補給は水やお茶で構いません。汗をたくさんかいたとき、長時間屋外にいるとき、食事が十分にとれていないときなどは、塩分を含む飲み物や経口補水液が必要になることもあります。
ただし、経口補水液は大量に飲ませればよいものではありません。使用する場面や量に迷う場合は、医師や薬剤師に相談してください。
暑い日は、通気性がよく、汗を吸いやすい服を選びましょう。
黒っぽい服や厚手の服は熱がこもりやすいことがあります。帽子も大切ですが、帽子の中が蒸れていないか、ときどき確認してください。
ベビーカーの場合は、日よけをしていても内部に熱がこもることがあります。保冷剤を使う場合は、直接肌に当てず、冷えすぎにも注意しましょう。
子どもは「疲れたら休む」ことが苦手です。
そのため、外遊びやスポーツのときは、あらかじめ休憩のタイミングを決めておきましょう。
たとえば、20〜30分ごとに日陰で休む、休憩のたびに水分をとる、顔色や汗の様子を確認する、といったルールを作っておくと安心です。
熱中症は、早く気づくことが、重症化を防ぐ第一歩になります。
次のような症状がある場合は、熱中症の可能性があります。
小さなお子さんの場合は、「頭が痛い」「気持ち悪い」とはっきり言えないことがあります。
いつもより機嫌が悪い、抱っこを求める、ぐったりしている、飲み物を嫌がるなども大切なサインです。
症状に気づいたら、まず涼しい場所に移動してください。
エアコンの効いた室内、日陰、風通しのよい場所などに移動し、衣服をゆるめます。
次に、体を冷やします。首、わきの下、足の付け根など、太い血管が通る場所を冷やすと効果的です。冷たいタオルで体を拭いたり、扇風機やうちわで風を送ったりするのもよい方法です。
意識がはっきりしていて、吐き気が強くなければ、水分と塩分を少しずつとらせます。無理に一気に飲ませる必要はありません。
一方で、次のような場合は、すぐに救急要請を考えてください。
迷う場合は、小児救急電話相談や救急相談窓口を利用してください。ただし、意識がはっきりしない、自分で水分が飲めない、けいれんしている場合は、ためらわず救急車を呼んでください。
暑い日に外で長く過ごした後、夕方から夜にかけて体調が悪くなることがあります。
ただし、夜に熱が出たからといって、すべてが熱中症というわけではありません。夏風邪、感染症、胃腸炎など、ほかの病気でも発熱は起こります。
見分けるときには、発熱だけでなく、日中の暑さへの曝露、元気の有無、水分摂取、尿の回数、頭痛、吐き気、ぐったり感などを合わせて考えます。
暑い場所で長時間過ごした後に、ぐったりしている、吐き気がある、水分がとれない、意識がぼんやりしている場合は、熱中症を疑って早めに対応してください。
熱中症は、外遊びや運動中だけでなく、通園・通学、車内、室内でも起こることがあります。場面ごとの注意点を確認しておきましょう。
日差しの強い時間帯は、短時間でも体に熱がこもることがあります。
できるだけ午前中の早い時間や夕方など、暑さがやわらぐ時間を選びましょう。日陰が少ない公園では、遊ぶ時間を短くすることも大切です。
登園や登校の時間帯でも、すでに気温が高い日があります。
帽子、水筒、通気性のよい服装を準備し、帰宅後は顔色、汗、尿の回数、食欲を確認してください。ランドセルや荷物が重い日も、体への負担が増えます。
短時間でも、子どもを車内に残すことは絶対に避けてください。
車内は短時間で高温になります。寝ているから、すぐ戻るから、エアコンをつけているからという理由でも、子どもだけを車内に残すことは危険です。
熱中症は屋外だけで起こるものではありません。
室内でも、湿度が高い、風通しが悪い、エアコンを使っていない、寝ている間に汗をたくさんかくといった状況では、熱中症のリスクがあります。
暑い日は我慢せず、エアコンを適切に使いましょう。
熱中症について、保護者の方からよくいただくご質問をまとめました。
普段の水分補給は、水やお茶で構いません。本文でふれたように、たくさん汗をかいたときや長時間屋外で過ごすときなどは、塩分を含む飲み物が役立つことがあります。
ただし、甘い飲み物を日常的に多く飲むことはおすすめしません。状況に応じて使い分けましょう。
経口補水液は、脱水が疑われるときや、汗を多くかいたときなどに使うものです。日常の飲み物として毎日たくさん飲ませる必要はありません。
持病があるお子さんや、医師から水分・塩分制限を受けている場合は、必ず医師の指示に従ってください。
熱中症では、感染症の発熱とは仕組みが異なるため、解熱剤だけで対応するのは適切ではありません。
暑い環境にいた後に体が熱い、ぐったりしている、水分がとれない、意識がぼんやりしている場合は、まず涼しい場所へ移動し、体を冷やし、水分を少しずつ補うことが大切です。
判断に迷う場合は、医療機関に相談してください。
次のような場合は、受診をおすすめします。
特に、前述のような救急のサインがあるときは、すぐに救急対応が必要です。
暑い日の朝は、次の点を確認してください。
ひとつでも不安がある場合は、無理をさせないことが大切です。
子どもは、大人よりも熱中症になりやすい特徴があります。
地面に近い高さで過ごし熱の影響を受けやすいこと、体温調節機能が未熟であること、遊びに夢中になって休憩や水分補給を忘れやすいことが主な理由です。
熱中症は、予防が何より大切です。
暑さ指数を確認する、外遊びの時間を調整する、こまめに休憩する、水分を早めにとる、室内ではエアコンを適切に使う。こうした一つひとつの積み重ねが、お子さんを守ることにつながります。
そして、熱中症が疑われるときは、まず涼しい場所へ移動し、体を冷やし、水分を少しずつ補ってください。前述のような救急のサインがあるときは、ためらわず救急対応を考えましょう。
お子さんは、自分の体調の変化をうまく伝えられないことがあります。保護者の方が「いつもと違う」と感じたときは、それが大切なサインです。
不安な症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。